なぜ、刑事ドラマはおもしろいのか。

NAZEDEKA。刑事ドラマを中心に「映画・テレビドラマ」について語っています。

あぶない刑事 research 12 「第12話 衝動」

          f:id:NAZEDEKA:20160522225515j:plain

基本データ

メインタイトル:あぶない刑事
話数:第12話
サブタイトル:衝動
放送日:1986年12月21日(日)
視聴率:13.8%
監督:村川透(3)
脚本:新井光(2)
ゲスト:苅谷俊介藤本恭子、三島ゆり子、椎谷建治、清水紘治(セミレギュラー(4))
主役:タカ(10)、ユージ(9)
準主役:なし
銃撃戦:B
爆破:なし
格闘:C
カーアクション:なし
事件キーワード:殺人、麻薬、殺人未遂、傷害

概要

サブタイトルは「衝動」。
柴野悟登場作。

少女殺害事件と銀星会の取り立て屋には繋がりがあったという物語です。殺害された少女の半生を軸として展開する、ヒューマン色の強い作品となっています。また、シリアスとコメディの起伏が激しいカオルにも注目です。

解説

・アクション

        f:id:NAZEDEKA:20160624165718j:plain     f:id:NAZEDEKA:20160624165845j:plain

本作のアクションは「銃撃戦」がメインです。
タカ(拳銃)・ユージ(拳銃)・野島(拳銃)・犯人(拳銃)の銃撃があります。その他は、タカ・ユージの格闘があります。

・ヒューマン

        f:id:NAZEDEKA:20160624171635j:plain     f:id:NAZEDEKA:20160624172411j:plain

本作のヒューマンは「少女とあしながおじさん」がメインです。
殺害された少女にはあしながおじさんが居た。捜査に奔走するタカとユージを通じて、少女とあしながおじさんの物語が描写されています。

豆知識(ネタバレ注意)

・野島は歌手デビューしていた!?

        f:id:NAZEDEKA:20160624181303j:plain     f:id:NAZEDEKA:20160624181341j:plain

本作は苅谷俊介さん演じる銀星会の取り立て屋であり、過去に歌手を目指していた野島が、同じく歌手を目指す少女のあしながおじさんとなって援助をする物語となっています。実は、苅谷さん自身が考古学研究の為に石原プロモーションを退社した際、舘ひろしさんからレコード会社を紹介され歌手デビューをしたという、本作の物語とリンクしたかのような実話があります。しかし、本作がこの実話を参考にしたのかは定かではありません。なお、発売されたアルバムのタイトルは「倭しうるわし」であり、考古学を彷彿とさせる曲が収録されています。

・マイクが映ってる!?

               f:id:NAZEDEKA:20160624162756j:plain

上記画像を見て下さい。何かにお気づきでしょうか?
これは、劇中の港署内シーンの画像ですが、画面左上に一瞬マイクが映り込んでしまっています。事件の重要参考人が分かった直後の事なので、視聴者は拍子抜けしてしまいますね。

収録ソフト

あぶない刑事 VOL.2 [DVD]

あぶない刑事 VOL.2 [DVD]

 

 

考察(ネタバレ注意)

本作は第1話以来とも言えるヒューマン色の強い作品である。その要因は、人間ドラマにおいて、過去のエピソードでは描かれなかった新しい試みがなされている点にある。それは、本作のヒューマン「少女とあしながおじさん」の「あしながおじさん」が銀星会関係者である事だ。過去のエピソードにも銀星会関係者は多数登場しているが、何れもヤクザ然とした描写の域を出るものではなく、少女とはおよそ無縁の存在であった。しかし、本作の野島は少女との強い絆で結ばれた物語が描写されている。これは、過去の銀星会関係者からは想像し難い描写であり、このギャップの人間ドラマが本作最大の特徴である。また、作品の構成において「少女とあしながおじさん」のヒューマンに対する2つの工夫が見て取れる。1つは、人間ドラマを際立たせる工夫。これは、2人のドラマを浮き彫りにすべく、外堀部分は過去のエピソードで見られた描写を再現している点である。具体的には、銀星会に感情高ぶるタカ、橋爪道子を挟み別々のアプローチで事件を追うタカとユージ、建前通りの柴野等である。柴野に関しては、野島への対応におけるタカとユージとの対比の為、必然の登場であったと言える。もう1つは、人間ドラマの湿っぽさを残さない工夫。これは、ヒューマン色が強い事によって生まれる陰鬱な空気感を払拭するものである。具体的には、事件解決後に新たな事件発生の連絡が入り、テーマ曲が掛かる中、現場に急行するタカとユージ、ラストカットのカオルがそれであり、この描写があってこその「あぶない刑事」だと感じられる。なお、「少女とあしながおじさん」の物語は、少女である道子が亡くなった後に描かれている点も見逃せない。これは、近藤課長がカオルに説いた警察官のジレンマを浮き彫りにする事で、本来の主役である刑事の人間ドラマを高める効果がある。ジレンマといえば、「少女とあしながおじさん」にもジレンマは存在する。それは、野島が道子に送っていた援助金は取り立てによって作られたものである事だ。道子が夢を追う一方で、冒頭の夫婦のように苦しんでいる人達がたくさんいる。ラストカットでのカオルのグッドサインは視聴者に送られたものであるが、このジレンマを忘れないでほしい。