なぜ、刑事ドラマはおもしろいのか。

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あぶない刑事 research 13 「第13話 追跡」

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基本データ

メインタイトル:あぶない刑事
話数:第13話
サブタイトル:追跡
放送日:1986年12月28日(日)
視聴率:9.6%
監督:長谷部安春(6)
脚本:田部俊行(2)
ゲスト:宍戸錠、一柳みる、片桐竜次、後藤明、灰地順
主役:タカ(11)、ユージ(10)
準主役:近藤課長(初)
銃撃戦:B
爆破:なし
格闘:B
カーアクション:C
事件キーワード:強盗、傷害、誘拐、人質、殺人未遂、自殺未遂

概要

サブタイトルは「追跡」。
近藤課長初準主役作。
地方ロケ作(愛媛県松山市今治市)。

信用金庫強盗事件で使用された拳銃は、過去の港署刑事が奪われた銃であったという物語です。レギュラーキャラクターの刑事では描く事ができない、元刑事の人間ドラマを描く作品となっています。また、かつての部下を思いやる近藤課長にも注目です。

解説

・アクション

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本作のアクションは「銃撃戦」がメインです。
ユージ(拳銃)・犯人(拳銃)の銃撃があります。その他は、タカ・ユージの格闘や車のアクションがあります。

・ヒューマン

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本作のヒューマンは「元刑事」がメインです。
6年前に拳銃を奪われ刑事を辞めた沢村。奪われた拳銃が犯罪に使われた事で、悶々とした6年間の日々に決着を付ける時が来た沢村の姿が描写されています。

豆知識(ネタバレ注意)

・エースのジョー登場!

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本作のメインゲストは元港署刑事の沢村を演じた宍戸錠さんです。このキャスティングは、宍戸さんがプロデューサーの黒澤満さんから、ドラマに箔を付ける為に出てほしいと、出演依頼があった事で実現したそうです。また、宍戸さんは黒澤さんから、仲村トオルさんが俳優としてやっていけるかの判断を委ねられたそうで、これに対し「大丈夫」と太鼓判を押したとの事です。なお、劇中で奪われた沢村の拳銃が「コルト32オート」に設定されたのは、映画「拳銃無頼帖」シリーズ(1960年公開)で宍戸さん演じる殺し屋の使用拳銃が「コルト32オート」であったからだと言われています。

・「松山警察署」は本物!?

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本作は第10話と同じく愛媛県松山市でロケが行われています。劇中、地元警察として「松山警察署」が登場しますが、この松山警察署の外観は実際の「松山東警察署」の庁舎とパトカーが使用されています。

収録ソフト

あぶない刑事 VOL.2 [DVD]

あぶない刑事 VOL.2 [DVD]

 

 

考察(ネタバレ注意)

本作は第10話と同じく松山ロケ作であるが、同様にイベント性も高い。メインゲストが宍戸錠、近藤課長準主役等が挙げられるが、プロットにも注目である。本作のプロットは、刑事が拳銃を奪われ、奪われた拳銃により犯罪が行われるものである。これは、アクション刑事ドラマの1エピソードとして、必ずと言っていい程、制作される定番プロットである。通常このプロットの場合、拳銃を奪われるのはレギュラーキャラクターの刑事であるが、本作ではゲストが演じる刑事となっている。この設定の違いにより、本作では新たな人間ドラマが形成されている。その起点となるのは、本作の沢村が拳銃を奪われた事で、刑事を退職しているという点である。この退職という展開により、6年間という長い苦悶の日々が描写されている。この間沢村は、転職、離婚を経験し、自らの拳銃が犯罪に使われないかと怯えながらの生活を余儀無くされた。これらの描写は、レギュラー刑事であるが故に退職という展開が行えないタカやユージでは描けないものであり、刑事を辞めた事で発する闘いはゲスト刑事ならではの人間ドラマと言えるだろう。また、沢村の過去を知る唯一の人物として近藤課長が該当する。近藤課長は、沢村のドラマに欠かせない人物である為、松山入りも果たしており、これが準主役の要因となっている。なお、第10話で松山入りをしたトオルは序盤で足を撃たれ、早々と退場し、今回は松山入りをしていない。これは、新人刑事であるトオルの軽さが、沢村のドラマの重さに取って弊害となる懸念がある為、必然の退場であったと見て取れる。更に、少年課では中学生が安易な理由で集団自殺を図ろうとしている事案を扱っており、6年間苦悶していた沢村とは対照的である。人生を俯瞰視するこの対比も、見逃せない描写であるだろう。劇中、沢村は拳銃を取り戻し、6年分変わる決心をした。沢村が本当に取り戻したのは拳銃ではなく、自らの人生だったのかも知れない。