なぜ、刑事ドラマはおもしろいのか。

NAZEDEKA。刑事ドラマを専門に「映画・テレビドラマ」の研究をしています。

大都会 -闘いの日々- 第2話 直子

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基本データ

メインタイトル:大都会 -闘いの日々-
話数:第2話
サブタイトル:直子
放送日:1976年1月13日(火)
監督:小澤啓一(2)
脚本:倉本聰(2)
ゲスト:伊吹吾郎、西尾三枝子
主役:直子(初)
準主役:黒岩(初)

概要

サブタイトルは「直子」。
直子初主役、黒岩初準主役作。

強姦被害にあった女性が恋人と黒岩の狭間でゆれる物語です。ヤクザと警察に翻弄される一人の女性を描く作品となっています。また、黒岩と直子の出会いにも注目です。

解説

・ヒューマン

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本作のヒューマンは「直子」がメインです。
事件を知られても愛する男に寄り添う直子の姿が描写されています。

豆知識(ネタバレ注意)

調査中。

収録ソフト

・BOX

 

絶対考察(ネタバレ注意)

 直子、その女性はヤクザに犯された。愛する男にこの事実を知られたくはない。が、愛する男もまたヤクザであった。
 直子を犯した山形には牡丹の刺青に刀傷がある。牡丹の花言葉は「王者の風格」。ヤクザの刺青としては順道である。しかし、牡丹には別の花言葉がある。「恥じらい」。山形に傷をつけられた直子も牡丹を背負わされる。
 黒岩に縁談がもちあがる。だが、直子に恵子が重なり、恵子しか目に入らなくなる。
 北海道でスポーツ用品を扱っていると偽り直子と会う黒岩。無口な二人。二人の口を閉ざしているのは言うまでもなく、直子と恵子におきた同じ事件である。しかし、事件解決には直子をかかわらせるしかない。本当はそっとしておいてあげたい。同じことを滝川も考えていた。詰めよる九条に、いやらしい記事を記事にしないため新聞記者になったと答える。九条にはまだ考えが及ばない。
 九条も直子に会う。だが、直子の立場にたたず、真実を告げてしまう。化粧室の鏡と対峙する直子。久光に会う前はコンパクトの小さな鏡に笑顔があふれていた。今、目の前の大きな鏡には一点の笑顔もない。久光からの電話をきった直後、弦がきれ、つぼみが落ちる。直子の心もきれてしまった。久光との幸せが花開くことはもうない。
 久光に売られる直子。直子の心には千歳よりも雪が積もっている。会ったことはあるけど知らない人に会うと黒岩に告げる。牡丹と刀傷の絵を描く。山形の刺青ではない。自らの身体と心に刻まれた刺青と傷を描いたのだ。
 どんなことがあっても好きだと久光にもらす直子。たとえヤクザであろうと。久光の死。直子もまた久光を売った。バックミラーにうつる直子を見つめる黒岩。鏡にうつる直子は真の姿か偽りの姿か。会ったことはあるけど知らない人とは久光のことだったのかもしれない。
 黒岩の手紙を読む滝川。「妹と暮す」が目に入る。四文字ですべてを悟る。
 ダリアの花を前に話す直子と黒岩。高校生のとき久光は花をくれ、甲子園のマウンドできらきら光っていた。変わらないと言った久光に「あなたも」と言ってあげた。嘘だった。久光は光のあたらない世界にいた。花の咲かない偽りの世界。直子を道具に使ったのは黒岩も同じだった。スポーツ用品のようにもてあそんでしまった。ダリアの別名は天竺牡丹。久光は遥か彼方へ旅立った。牡丹を遺して。ダリアの花言葉は「移り気」。落としたハンカチを拾いあげた黒岩に直子の気持ちが移ってゆく。
 買い物する恵子に直子が重なる。黒岩が帰るのは寒い北海道ではない。二人で暮す暖かい我が家である。